正月飾りを飾って大掃除、除夜の鐘年を越したら初詣!となりますが、その正月飾りをしまって正月を終わりにするのはいつなのでしょうか?
鏡餅を飾ったらそれを食べるのが鏡開きですが、それはいつなのでしょうか?
それまでにすることややってはいけないことのご紹介です。
鏡開きの読み方
鏡開きの読み方は「かがみびらき」になります。
鏡開きとは
鏡開きとはお正月に飾った鏡餅を下げて、お雑煮やおしるこなどにして食べる行事のことを言います。飾ったお餅を煮て食べる、正月が終わる象徴的な行事ですね。
鏡餅を年末の吉日に飾ったら、それを片付けるのはいつがいいのか…気になりますね〜。
鏡餅を飾る日についてはこちらの記事を読んでくださいね!
また鏡餅についてはこちらの記事を読んで下さいね!
鏡開きの意味
鏡開きには、お越しいただいた年神様をお送りし、歳神様の依代となった鏡もちのお下がりを食べることでその力を授かるという意味があります。鏡餅を食べて新しい年の無病息災を祈るのです。
また、鏡開きは新年の健康と長寿を願う「歯固め」の儀式でもありました。お供えした鏡餅は水分が抜けてカチカチなっています。丈夫な歯の持ち主は長生きだと昔の人は経験から知っていたのでしょう。丈夫な歯で元気で過ごせるよう鏡開きで祈願したのです。
正月飾りを外す日と鏡開きの日
正月飾りを外す日は地域によって違います。
- 関東の松の内が終わるのは1月7日なのでその日にお正月飾りを外し、1月11日に鏡開きをする
- 関西の松の内が終わるのは1月15日なのでその日にお正月飾りを外し、その後に鏡開きをする
- 1月11日にお正月飾りを外して鏡開きもする
- 京都には1月4日に鏡開きを行う地域もある
鏡開きは国民の祝日ではありませんので、地域による差が大きいのですね!一般的には松の内が終わった後に鏡開きを行いますので、1月11日となります。
関東と関西で正月飾りを外す日に違いがあるのは関東は徳川家光の日命日に遠慮したため
関東と関西では松の内の日にちが違います。関東は1月7日で関西は1月15日…ずっとお屠蘇気分でいたいのに。
これは徳川家光公の命日が関係しています。
徳川 家光(とくがわ いえみつ)公は江戸幕府の第3代征夷大将軍です。参勤交代の制度化、田畑売買禁止令、慶安御触書、寛永通宝の鋳造などを行ったんですよ〜。日光東照宮を大改造した方としても有名ですね。
家光は1651年の4月20日に亡くなりました。死因は脳卒中だった可能性が高いそうです。
この家光が亡くなった20日が忌日ということで、それまで関東の松の内は20日だったが避けられるようになり、さらに鏡開きの1月11日より前に、ということで1月7日になったという説が最も有力です。
関西はやはり太閤・豊臣秀吉のお膝元なので長いままだったのか、それともどんど焼きまで楽しんじゃお!の気持ちなのか、不思議ですよね〜。
また鏡開きには、正月に一区切りつける・その年の仕事始めをするという意味もありました。武士は具足などを納めていた櫃(ひつ)を開き、商家では蔵を開き、農村では田打ちという作業をして1年の出発としていました。剣道などの武道で、新年の道場開きに鏡開きをする(またはお汁粉などをふるまう)のはその名残りです。商家では鏡開きを「蔵開き」と呼びました。
鏡開きやってはいけないことやってはいけない日やり方
鏡開きのやり方についてご紹介します。
鏡開きをやっていい日やってはいけない日
鏡開きは一般的(関東)には1月11日です。鏡開きが11日なのは11日に大名の米蔵開きの日であったのでそれも関係しているのかもしれません。
- 鏡餅は歳神様の依代
- 歳神様にお越しいただいてもてなすために正月飾りをして鏡餅をお供えする
- 歳神様は松の内は鏡餅にいる
- 鏡開きは歳神様の依代だったものをいただいて、歳神様の力をもらいその年の無病息災を祈る
鏡開きの日である1月11日以前に行うのは、歳神様がまだ餅の中にいる可能性があるのに依代をなくしてしまうことになります。
せっかくお越しいただいた歳神様に対して、大変に失礼な行為になりますので関東なら松の内以降の1月11日を守ってくださいね!
また関西や一部の地域では1月15日以降のところもあります。
鏡開きのやり方
鏡餅を祭壇からおろして、木槌や手などを用いて、食べられる大きさに割ります。
小さなかけらも余さず拾って、茹でたりかき餅にして食べましょう。
一般的にはお雑煮や小豆と一緒に煮て食べます。
一緒に飾っていた紙垂や半紙など燃やせるものはどんど焼きに持っていくといいでしょう。
木でできた三方(乗せる台)は綺麗に洗って保管してね!
鏡餅を割ることができない、木槌なんかあるわけない
どうしても鏡餅を割ることができない場合は
- 丸ごと茹でて、四十度くらいまで温度が下がったら手でちぎる
- 水に浸してレンジでチンして柔らかくする
- そのままレンチンして柔らかくなったところを手でちぎる(めっちゃ熱いので本当に要注意です)
などして餅を柔らかくして手でちぎることにチャレンジしましょう。
最近はすでに小分けにパッキングされた鏡餅も売っていますね。鏡餅をわる鏡割りという行為が大切なので、そういうものを使った時は細かく分けるふりをしてから食べてくださいね!
まあ、木槌なんか普通の家にはあまりありませんからね…。
鏡開きやってはいけないことは刃物を使うことと捨てること
鏡開きで絶対にやってはいけないことは
- 鏡餅を包丁などの刃物で切る
- 鏡餅を捨てる
になります。
鏡開きは武家発祥なので刃物は切腹だからやってはいけない
鏡開きは武家発祥といわれています。鏡餅を包丁などの刃物で切る行為は、切腹を連想し縁起が悪いとされています。
包丁を使いたくなりますが、頑張って割りましょう!
歳神様の依代である鏡餅を捨てるのはその年の運気を捨てること
鏡餅は年神様の依代です。歳神様の体をいただいてその恵みを授かるための儀式なのです。
捨てずに小さな欠片も残さずいただきましょう。
鏡開きの食べ物
鏡開きで割った鏡餅…どんな食べ方があるのでしょうか?
鏡開きの食べ物:お雑煮
一番ポピュラーですね!鏡開きで割った鏡餅をお雑煮にして食べるのは一番食べやすいかもしれません。
鏡開きの食べ物:かき餅
鏡開きで割った鏡餅の小さなかけらは、かき餅がいいかもしれません。
餅を小さくして油であげ、それに醤油や味醂と醤油で作ったタレなどで絡めて食べます。
鏡開きの食べ物:おしるこや小豆煮
鏡開きで割った鏡餅をお汁粉に入れたり、小豆と一緒に煮て食べるのもポピュラーな食べ方ですね。
小豆には魔除けの力があると信じられていました。厄祓いにピッタリです!
鏡開きと樽酒と鏡割り
鏡開き、と聞くと酒樽をわることを連想する方も多いですね!
酒樽の丸い蓋を割るのも鏡開きと言います。
酒樽のふたを別名「鏡」と呼び、縁起よく「開く」という表現を使うようになりました。
鏡餅も丸、酒樽の蓋も丸…日本では古くから鏡には神様が宿ると考えられていました。昔の鏡は丸い形をしていて、八咫鏡も丸ですよね〜!
この「鏡開き」、樽酒のふたを割ることを指すこともありますね。こちらは新築や結婚式などのお祝いのときに行います。
日本では古くから鏡には神様が宿ると考えられていました。昔の鏡は丸い形をしています。そこで、丸い餅で鏡を表し「鏡餅」と呼ぶようになったそう。
鏡開きと結婚式
酒樽の蓋を割る鏡開きは結婚式や新築のお祝いなどでよく行われますね!会社の慶事で見る方も多いでしょう。
結婚式で行う鏡開きは、酒樽の蓋を丸いお餅に見立てて式を上げる二人が木槌で開封します。ウェディンケーキ入刀に近い、二人で家庭をこれから作っていくという誓いですよね〜。
蓋の丸は夫婦円満を表現しており、それを木槌で開くのは「二人で未来を開いていく」という意味が込められています。「夫婦円満」「子孫繁栄」を意味している縁起の良い演出なんですよ!
鏡開き2024年(令和6年)は1月11日
2024年(令和6年)の鏡開きは2024年1月11日です。この日は木曜日で甲戌、赤口となります。
鏡開きでやってはいけない鏡餅は女性が食べてはいけない?鏡開きと具足餅
この鏡餅、鏡開きでやってはいけないことの一つとして「女性は食べてはいけない」という風習があるところもあるそうです。
下記のご質問をいただいたので、調べてみました。
フェイク投稿かもしれませんが、若干気になったので。
回答は急ぎません。わかる範囲で結構です。よろしくお願いします。
鏡餅と具足餅、具足祝い
鏡餅の由来として具足餅というのがあります。まずは鏡餅と具足餅についてです。
具足祝い
具足祝いと言われても、最近は全く耳にしなくなったかもしれません。
室町時代や江戸時代の武家社会で行われていた「具足祝い」(ぐそくいわい)、これは戦国時代の武家社会で正月に鎧・兜などの甲冑の前に餅をを供えて、おろして食べる行事です。
供えた餅は具足餅(ぐそくもち)または武家餅(ぶけもち)と呼ばれました。
この具足餅をおろして食べるときは、木槌などで割って食べました。包丁等で切るのは切腹をイメージさせるため禁忌だったのです。そのため「具足祝い」の別名は「具足開き」、末広がりを意味する「開く」になったわけです。
この「具足開き」が鏡餅の由来と言われています。
1月20日に「刃柄(はつか)の祝い」
江戸の初期までは1月20日に「刃柄(はつか)の祝い」として武家が具足祝い、具足開きを行っていました。先祖伝来の鎧兜にめでたい食材を供えた「具足餅」を20日に雑煮などで食べていました。
鏡開きは、今は1月11日の地方が多いですが、江戸の初期までは1月20日に「刃柄(はつか)の祝い」として武家が具足祝い、具足開きを行っていました。先祖伝来の鎧兜にめでたい食材を供えた「具足餅」を20日に雑煮などで食べたそうです。
「鈴木主税の弘化四年「御用日記」」(柳沢芙美子著)という福井県文書館研究紀要にこの具足餅に行った話が少し書かれています。
この具足祝いは、武家の大切な祝いの一つで、主家に赴きその具足を見て餅をいただくという感じのもので、今のような「おうちでほんわか正月祝い」とはまた違っています。その家の主人、すなわち男性が主役の祝いだったのでしょう。具足は戦場に赴く男のもの…そこに女は出てきません。
では女性は餅を食べられなかったのでしょうか?
そうではなく、桃の節句と端午の節句のように、女性用の餅もあったのです。
鏡餅は鏡に供えた餅
さて、武家の男性が具足餅を供えていた時、女性は鏡台に餅を供えていました。これこそまさに「鏡餅」ですね!
そして1月20日にこれをおろして、お雑煮などにして食べていたのです。この行事のことを「初顔(はつかお)」と呼びます。
男性が皆で具足を囲んで酒を飲む中、女性は女性で台所でキャッキャしながら餅を食べていたのかもしれません。
鏡開きでやってはいけない、鏡餅は女性が食べてはいけない?
さて、ご質問の「鏡開きで鏡餅は女性が食べてはいけないかどうか」についてです。
色々な文献や地方誌を少し調べてみたのですが、明確に「女に鏡餅(具足餅)を食わせるな」という記述のものはなかったです。ただ、女性は食べていなかったろうな、と思わせるものは多かったです。
女性には鏡台に供えた餅があったので食べる必要がなかった、というのもありますが、具足祝いは「新年に会社の仲間で上司の家にいく」的な側面が大きくそこに女性は参加していません。そして具足に備えた餅は「武功を建てられるように」とその家の当主と家を継ぐべき長男や男児の口に入ったでしょう。
ラジオで「鏡開きの餅を女性は食べてはいけない」という趣旨のメールを書かれた女性がどこの出身なのかとても気になりますが、多分、武家意識の強い地域やご家庭のご出身ではないかと思います。
そうでなければ、陰陽道の禁忌が残っている地域なのかもしれません。現代でも色々な禁忌があり「卯の日に田植えをしない」「酉の日に田植えをしない」「辰の日に餅をついてはいけない」といった地域もあります。
面白いところでは「餅なし正月」を守っているところもあります。東京の足立区四ツ家がそうです。他にも長野や鳥取などにも見ることができます。
個人的に好きな風習は山形や佐賀などの「餅すすり」です。
餅を噛まずに飲み込むという風習で、つきたての餅を細長く伸ばして飲み込んだり、小さくして飲んだりしていきます。ものすごく美味しそうですが、非常に危険で昔は「餅すすり大会」などが開催されていたのですが、現在では行われなくなりました。
つきたてのお餅って本当に美味なので仕方がありませんよね。
あまり答えになっていませんでしたが、大好きな餅のことをずっと考えたり調べたりできてとても楽しかったです!
もし皆さんも知っていることがあったら、教えてくださいね!
コメント 成功の口コミや疑問…読んでね!
鏡開きについて
お聞きしたいことがあります。
先日ラジオ番組内で「鏡開きの餅を女性は食べてはいけない」という趣旨の
メールが読まれていまして、そのような風習が日本であったこと自体初耳でした。すでに
鏡開きの餅を食べてしまった自分は、かなりの罰当たりということになります。そもそもこの風習はホントなのかと疑問に思いつつメールした次第です。
フェイク投稿かもしれませんが、若干気になったので。
回答は急ぎません。わかる範囲で結構です。よろしくお願いします。
色々な文献や地方誌を少し調べてみたのですが、明確に「女に鏡餅(具足餅)を食わせるな」という記述のものはなかったです。ただ、女性は食べていなかったろうな、と思わせるものは多かったです。
女性には鏡台に供えた餅があったので食べる必要がなかった、というのもありますが、具足祝いは「新年に会社の仲間で上司の家にいく」的な側面が大きくそこに女性は参加していません。そして具足に備えた餅は「武功を建てられるように」とその家の当主と家を継ぐべき長男や男児の口に入ったでしょう。
ラジオで「鏡開きの餅を女性は食べてはいけない」という趣旨のメールを書かれた女性がどこの出身なのかとても気になりますが、多分、武家意識の強い地域やご家庭のご出身ではないかと思います。
そうでなければ、陰陽道の禁忌が残っている地域なのかもしれません。現代でも色々な禁忌があり「卯の日に田植えをしない」「酉の日に田植えをしない」「辰の日に餅をついてはいけない」といった地域もあります。
あまり答えになってなくてごめんなさい!
この投稿された女性のお住まいの地域など気になりますね!
願いが叶いますように!
先日はありがとうございました。
まさか大々的に取り上げられていたとは思いませんでお礼が遅れてしまったこと、深くお詫び申し上げます。
鏡餅は必ず男性のみというわけではないこともわかりましたし、それ以外にも風習があったことも知りませんでした。
自分の住んでいる県は史跡ではありますが武家屋敷があったところがあるので、そこから来たのでは?という解説も納得できました(主に餅文化が盛んな県南方面)。
今は男女の区別なく食べられてますし、年神様のお力を頂き、感謝しておいしく食べることが一番ですね。
本当にお忙しい中、ありがとうございました。
これからも長く続くことを心よりお祈り申し上げます。
全然構いません!
コメントを頂けて本当によかったです!
餅や正月などの行事はその地方や家庭のみで行われる特別なものが多く、地元の郷土研究家でも知らないものがあったりします。
その投稿された女性の家庭では、「女の子が食べて不幸にならないように」という親心がそれを伝え続けたと思うと、今も昔も変わらぬ親の愛を感じます。
また気になることがあったらぜひコメントしてくださいね!
願いが叶いますように!