西日本では有名な柊鰯、これは節分に飾る縁起物で、鬼を追い払う=厄除けになります。
この柊鰯の作り方やいつまで飾るのか、処分の仕方などご紹介します。
柊鰯の作り方
節分の日に門に飾って鬼を追い払うと言う柊鰯…本物の鰯の頭を使いますので、当日の朝にさっと作って飾りたいですね。
それでは柊鰯の作り方です。
柊鰯の材料と必要なもの
- 鰯の頭 1つ(別にたくさんあってもいい)
- 柊の葉の付いた枝 1本(20cm程度のもの)
- 軍手(臭くなりますのでゴム手やビニール手袋でもいいのですが、柊に棘があります。軍手の方がいいかも)
- ハサミ(鰯の頭を落とせるくらいのもの、包丁でもいい)
- コンロ(魚を焼きます)
柊鰯の作り方
- 鰯の頭を切り離して、鰯の頭をこんがりと焼きます。丸ごと一匹焼いた鰯から、頭を切り離してもOKです。
(鰯の身の方は食べますので一緒に焼いてもいいですが、バラしてから焼いた方が楽です) - 柊の枝に、鰯の頭を刺します。柊には棘がありますので注意してね。
- 出来上がった柊鰯を玄関先(外)に飾ります
出来上がりはこんな感じですよ〜。
柊鰯の飾り方
柊鰯は鬼を家に近づけないようにする目的で飾るため、家の中ではなく、必ず家の外に飾りましょう。
玄関先に飾るのが一般的です。門があれば門扉の柱などに飾るのをよくみます。
飾り方に決まりはありませんが、ひいらぎの枝の部分をテープで貼って止める、紐で結びつけるなどして固定するのがおすすめです。
柊鰯を折り紙で作る
本物の柊鰯を飾るのは色々厳しい!!そうですよね〜、現代社会です。カラスとか猫とかの害獣被害、見逃せませんね。
そんな時は折り紙で追って飾りましょう。小さなお子さんがいるなら一緒に楽しめますよ!
柊鰯とは、由来と意味
節分になぜ鰯を柊に刺して玄関先に飾るのでしょうか。しかも頭だけ…なんとも猟奇的な風習ですが、きちんと意味があるんですよ〜。
柊鰯の読み方は「ひいらぎいわし」
柊鰯の読み方は「ひいらぎいわし」です。
柊鰯の意味は節分の魔除け
柊鰯は節分に魔除けとして飾られます。
柊の小枝に焼いた鰯の頭を刺したものを門口に飾ることで、鬼が家に入れないようにすると言う意味があるのです。節分の豆と一緒で邪気払いなんですね!
- 柊の葉の棘が鬼の目を刺すので門口から鬼が入れない
- 鰯を焼く臭気と煙で鬼が近寄らない
と言うのがその理由です。ちなみに鰯の臭いで鬼を誘い、柊の葉の棘が鬼の目をさすと言う説もあるそうですよ〜。
柊鰯の由来
柊鰯は平安時代にはすでに始まっていたようです。
紀貫之の土佐日記の中に正月の門口に飾った注連縄(しめなわ)に、柊の枝と「なよし」(ボラ)の頭を刺していた「飾り物」が記されています。これが「柊鰯」になったと言われています。現在でも、伊勢神宮で正月に売っている注連縄には柊の小枝が挿してあります。
このいつから鰯になったのか、と言うことについては同志社女子大学の吉海 直人氏(日本語日本文学科 教授)が下記のように書かれています。
ここにある「なよし」というのは、出世魚である鯔(ぼら)のやや小さめの時の名称です。いずれにしても『土佐日記』に鰯は登場していないことがわかりました。もちろんこれは元日の記事ですから「柊」が元日に用いられた最も古い例であることに間違いはありません。ひょっとするとその頃は、「鰯」に限らず魚ならなんでも良かったのかもしれません。
もう一例、鎌倉時代成立の『夫木和歌抄』という歌集に藤原為家が詠んだ、
世の中は数ならずともひひらぎの色に出でてもいはじとぞ思ふ
に、「柊」と「鰯」が一緒に詠み込まれているとされているのですが、たとえ「言はじ」に「鰯」が掛けられているとしても、節分との関連が認められそうもないので、この歌を証拠にして歴史を遡らせるのは危険です。
今のところ、江戸時代以前に「柊」と「鰯の頭」が鬼除けとして用いられた確かな資料は見つかっていません。ただし「柊」だけなら、『古事記』のヤマトタケルの東征に柊の木で作った八尋の矛(ほこ)が出ています。要するに「柊」は古くからありましたが、「鰯の頭」が登場するのは江戸時代以降なので、両者がセットで用いられるのも江戸時代以降ということになりそうなのです。
江戸時代にもこの風習は非常に普及していたらしく、浮世絵や、黄表紙などにもよく書かれています。江戸時代にはみんなでこぞって柊に焼いた鰯の頭を刺していた、と思うと江戸の生活が垣間見えて、本当に面白いですね!
柊鰯の別名
柊鰯は、やいかがし(焼嗅)、やっかがし、やいくさし、やきさし、とも呼ばれています。
節分に鰯を食べる意味
柊鰯は、いわしの頭の部分のみを飾ります。そのため鰯の身の部分は節分の行事食として食べる地域も多いです。特に西日本の一部の地域では柊鰯を飾ったあと、その日中にいわしを食べる風習があります。
食べ方は色々ですが、頭と一緒に焼いてそのまま食べるのが多いです。
あとは煮て骨まで柔らかくして食べたり、つみれにしたりとバリエーション豊かです。
イワシは漢字にすると「魚」偏に「弱」と書いて「鰯」となります。
読んで字のごとく、鰯は海から陸に揚げられるとすぐに弱って腐りやすい魚で、そこが鬼の嫌う生臭い匂いを出すと言う謂れにつながるのです。
この弱いの「よわし」が変化して『鰯(イワシ)』と言う名前に変化しました。
また「「賎しい(いやしい)」魚という意味での「イヤシ」が変化して『鰯(イワシ)』となったという説もあります。
弱くて卑しいとされる「鰯」を食べることで「陰の気」を消すという意味もあるんですね!
柊鰯を飾る地域
柊鰯を節分に飾るのは全国でおこなわれている風習ではなく、一部の地域のみでおこなわれています。そのほとんどが本州であり、北海道や九州で見ることはありません。
主に西日本の風習で、関西地方が中心ですが、東北や関東、東海地方でも見られるので、本州の中で見られる風習の1つです。関西でも特に奈良県の奈良市内では、柊鰯を飾る風習が色濃く残っています。
- 【東北】青森、福島
- 【東海】岐阜、愛知、静岡
- 【関東】東京、埼玉、千葉、栃木、群馬
- 【関西】京都、大阪、奈良(特に多い)
- 【西日本】岡山、広島
そしていわしを食べる「節分いわし」の習慣は西日本一円で広くみられます。
福島県から関東一円にかけても、柊鰯は行われていて、東京近郊では、柊と鰯の頭にさらに豆柄(まめがら、種子を取り去った大豆の枝)も飾るんだそうです。
奈良県吉野町では、一本だたら(一本足の妖怪、めっちゃ怖い)を防ぐため節分の日にトゲのある小枝に焼いたイワシの頭を刺して玄関に飾るという習慣があります。
鬼を追いはらう臭いを立てるために、ニンニクやラッキョウを使う地域もあるんですよ〜。
柊鰯いつからいつまで飾る
柊鰯を飾る期間は地域差がかなりあります。
- 小正月の翌日(1月16日)から節分の日まで
- 節分の日のみ
- 節分の日から2月いっぱい
- 節分の日から一年間
上記以外のパターンでは「鰯の頭が猫に食べられるまで飾る」なんて言うのも!
お住まいの地域やご家庭の風習で飾ってくださいね!
柊鰯の処分方法
柊鰯は縁起物なので、一般的なゴミと一緒にポイ捨てはちょっと気になる!と言う時は下記のような捨て方もあります。ただし、最近は神社のお焚き上げは受け取らないこともありますので「塩で清めてから半紙に包んで捨てる」が無難かもしれません。
- 神社で焚き上げてもらう
- 玄関先に埋める
- 灰になるまで焼いて、玄関先に盛る
- 塩で清めてから半紙に包んで捨てる
神社でお焚き上げをする場合は、お近くの神社のどんと祭へ持参してください。
- 柊鰯を取り下げるのが、当年の2月4日であればその年のどんと祭
- 翌年の2月3日に掛け返る場合は、翌年のどんと祭
になります。先ほども書きましたが、どんと焼きや左義長は近年は煙や匂いのするものを燃やさなくなりました。鰯の頭は匂いますので、受け取らないところも多いかもしれません。
何より、取っておくのきついですしね…。
節分と立春についての記事
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