毎年、お正月が過ぎて小正月すぎた頃になると「春節」という言葉をニュースやネットなどでよく見ますね。
でも毎年同じ日付ではないみたい?春節とは一体なんなのか、日本の旧正月とは違うのか、などをご紹介します。この春節は太陽太陰暦=月に満ち欠けと太陽による暦からなっていますので、どうしてもここに調べたことを書いておきたくて書きました。
春節とは
春節とは中国・中華圏における旧正月のことです。
中華人民共和国では秋の国慶節(中国の建国記念日、10月1日から1週間ほど)と並ぶ大型連休で、1週間ほど休暇を取る人が多いです。この時期は中国国内はもとより海外へも多くの人が移動して休暇を楽しんだり、家族と過ごすために里帰りしたりします。
新暦の正月に比べ盛大に祝賀され、中国やシンガポールとなどの国や地域では数日間の祝日が設定されているほどです。
2025年春節の時期や期間
春節の時期は年によって異なります。概ね1月下旬から2月上旬にあります。
下記に春節の始まる日をリストにします。
- 2024年2月10日
- 2025年1月29日
- 2026年2月17日
- 2027年2月7日
- 2028年1月27日
- 2029年2月13日
- 2030年2月3日
春節は民間の習慣で「過年」とも呼ばれます。
過年は旧暦12月23日の祭竈(一部地方では12月8日の臘祭)から旧暦正月15日の元宵節まで約3週間にわたり正月の一連の行事を準備して祝います。その中でも旧暦の12月31日の大晦日と元旦の一日を最も盛大に祝います。
春節の読み方
春節は「しゅんせつ」と読みます。
春節を中国語で読む
春節は中国語では下記になります。
- 簡体字中国語→春节
- 繁体字中国語→春節
春节をピンイン(中国語の発音記号)で表すと「chūnjié (chun1 jie2)」になるそうです。カタカナ読みだと「チゥ(ェ)ン ヂィエ」なんだそうですよ〜。
2025年の春節は2月10日
2025年の春節は1月29日です。
春節は韓国にもある
韓国では、旧正月のことを「ソルラル」と呼びます。新正(シンジョン・新暦のお正月)に対して旧正(クジョン)とと言う呼び方も。日本のお正月と同様に、家族親族が揃って新年を迎えるのが特徴です。
ソルラルの朝は、
- お風呂に入って身を清める
- 正装に着替え、神様や先祖を祭る儀式「茶礼(チャレ)」行う
- お墓参りに行くか韓国風お雑煮の「トックク(お餅(トック)と野菜などを煮たスープ)」を食べる
と言う感じです。
春節は台湾にもある
台湾でも旧正月の春節をお祝いします。台湾では「大晦日は家族で過ごす日」とされていて、お鍋、鳥、魚、エビなどを家族で囲みながら賑やかに食べます。春節には玄関に赤い紙を飾ります。この紙は 「春聯(しゅんれん)」 で、家の中に福とお金が舞い込んでくるという意味が込められているそうです。
日本と同じくお年玉もありますよ〜。台湾の春節の行事は下記のようになっています。
初一 | 走春(行春) | 走春は農耕時代からの伝統風習、台湾では”走”は歩くという意味で”春”は台湾語の”剩(あまつさえ)”は余る・残るという意味。元旦に歩けば歩くほど残る・余りが出るので新年はお出かけすればするほどその年を裕福に過ごすことができる。 お嫁にいった娘さん元旦に帰ってきたら運が悪くなる |
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初二 | 回娘家 | お嫁にいった娘さんが実家に帰る日 |
初三 | 睡到飽 | 夜は早く寝て、お正月で疲れた身体をゆっくりと睡眠をとって休める |
初四 | 迎財神 | 財産の神様(三国志で有名な関羽雲長)をお迎えして、金運に恵まれるように祈る |
初五 | 開工 | 商売繁盛を祈り、商いをはじめまた一年を働き出す |
春節と旧正月の違い
日本の「旧正月」は、日本が明治5年以前に採用していた太陰暦でいうお正月のことのことになります。明治6年に現在日本が使用しているグレゴリオ暦に変更されました。
グレゴリオ暦は太陽暦の一種で、イエス・キリストの生誕年を基準として現在では世界中で使用されている暦法です。 ユリウス暦を改良して4年に1度の閏年を追加したものが、1582年にイタリアのグレゴリオ十三世によって導入されました。 閏年は、4で割り切れる年は閏年とし、2月に29日を追加することで、年度の平均長を365.2425日に近づけることができます。
太陰暦が示すお正月と区別するため旧暦のお正月を「旧正月」と呼んでいます。グレゴリオ暦で言うお正月が「毎年1月1日」と決まっている一方で、旧正月は「1月中旬ごろから2月中旬ごろの間で新月になる日」が新年となるため、毎年日付が異なります。
中国では1912年に新暦であるグレゴリオ暦を採用していますが、中国をはじめ台湾、韓国、シンガポールなどのアジア圏では現在でも新暦のお正月ではなく、旧暦のお正月である旧正月を新年として重要視し、盛大にお祝いします。
なぜ日本では旧正月を祝わなくなったのか
中国を含むアジア圏では旧正月を祝うのに「なぜ日本では旧正月を祝わなくなったのか?」のはっきりした答えはありません。元々日本も明治維新の前までは旧暦を使い、旧正月を祝っていました。しかし、明治6年に新暦になってからは徐々に旧正月を祝う人は少なくなり、今ではすっかり聞かなくなったのです。
旧暦のままだと明治6年は閏年で年13回も給与するのは財政的に厳しかった
改暦が正式に決定されたのは明治6年(1872年)11月9日で、一月もしない1872年12月3日に西洋暦である新暦に変わりました。明治6年は新暦の1月1日から始まったことになります。
わずか一ヶ月で改暦したのは、当時、明治政府の財政状況はあまり芳しくなく、旧暦のままだと明治6年は閏年なので年13回も給与するのが厳しかったからではないかと言われています。
この時の急激な変更が「旧正月」をやめるきっかけになったのかもしれません。なんせ、11月だと思っていたら、急に「正月だよ」と言われたわけですから。改暦でお祭り騒ぎだったでしょうし、これでさらに旧正月も祝うという気持ちにはならなかったのかも。
この当時はまだ薪と釜で飯を炊いていました。日本では1872(明治 5)年にようやくガス灯が照明として使われ始めたくらいで、まだ熱源としてガスが使われるのはもっと先になります。「もう一度正月料理を作れ」と言われたら「無理」と返したくなりますよねぇ。
https://www.city.kawasaki.jp/kawasaki/cmsfiles/contents/0000026/26446/08takahashi.pdf
また正月準備はとてもお金がかかりますので、それも理由かもしれません。明治初期は世界的なデフレが続く中、日本はインフレで経済的には上向きだったのですが、庶民の懐が豊かだったとは言えない状態でした。
また、新暦の元旦が休みで旧暦の元旦は休みではなくなったことも大きな要因ではないかと思います。やっぱり、正月は休みじゃなきゃ…!
沖縄や南西諸島など旧正月を祝う文化が残っている
グレゴリオ暦の採用から、祝われなくなってしまった旧正月ですが、沖縄や南西諸島など旧正月を祝う文化が残っている地域もあります。
沖縄では正月は「ソーグヮチ」と呼ばれ、旧正月の朝に組み上げた「若水」や、鏡餅に似た「ウチャヌク」を神様(ヒヌカン火の神)にお供えするそうです。
大漁祈願などを願う意味もあり、特に漁業が盛んな地域では旧正月の風習が多く見られます。
また正月飾りも、この旧正月が終わる時まで外しませんので、時には2月の半ばまでつけていることもありますよ〜。
正月飾りを外すときについてはこちら!
春節と日本の正月と太陽太陰暦
さて春節が決められているのは「太陽太陰暦」なんですが、中国の春節の場合はより正確にいうと夏暦という太陽太陰暦の一つによって決まっています。
夏暦は中国で四千年前の夏王朝の時代に始まったとされる暦法です。夏王朝は実在性がはっきりしない王朝ですが、紀元前2070年頃から紀元前1600年頃にあったのではないかと言われています。
この夏暦が現在では「太陽太陰暦」の総称のように使われています。
春節と太陽暦、太陽暦とは何か
「太陽暦(グレゴリオ暦)」は太陽の周りを地球が一周する時間を換算しています。一周するのに365.242…日と端数が出るため1年を365日とし、端数を調整するために4年に一度、1日を追加して1年366日の閏年(うるう年)を作りました。2月29日ですね!
ただし西暦年数が「100で割り切れても、400で割り切れない年」は平年となります。
春節と太陰暦、太陰暦とは何か
さて、太陽暦についてご紹介しましたが、今度は太陰暦です。この太陰暦から「太陽太陰暦」になりますよ〜。
太陰暦とは、月の満ち欠けがベースとなった暦のことです。
朔、すなわち新月となる日をその月の一日(ついたち)にし、そこから満月になるまでの期間を一ヶ月としたのです。そのため下記のように日付と月の満ち欠けに対する呼び名が一致します。
- 朔月は朔日(さくじつ=一日=ついたち=月が立つように見えるほど細い)
- 三日月は3日
- 半月は弓や弦の形に似ているから上弦、下弦
- 満月は15日(十五夜、望月)
- 下旬は月が細くなっていくため「つきごもり(月隠り)・つごもり(晦)」
- 30日後にはまた月が隠れるので「みそか(三十日・晦日)」
- 1年の終わりにくる晦日は「おおみそか(大晦日)」
ただし、太陰暦はその地域によって違いがあります。
中国では夏暦あったように、日本では天保暦がそれでした。天保暦で使われていた天体の運動理論や時刻の取り方などは現代の暦を流用したものになりますので、かつて使われていた天保暦とはちょっと違うんですよね〜。
現在「旧暦」と呼んでいる暦は、日付の数え方や置閏法(閏月の置き方)が 天保暦を模倣しているというだけで、その元となる天体の運動理論や時刻の取り方などは現在の暦を流用したもので、 あくまで「天保暦のようなもの」
月の満ち欠けの平均はおよそ29.53日
昔の暦が太陰暦を使っていたのは理由があります。潮の満ち引きや満月に産卵する生き物、満月の前に種まきをすると根付きがいいとも言われ、農業や漁業が主たる産業であったとき、月の満ち欠けこそが豊作や豊漁を助ける道標だったのです。
新月から満月になるまでは常に15日間ではなく、実際は14日~16日と幅があります。ひと月の平均はおよそ29.53日となります。
太陰暦では月の長さを変えて、小の月が29日、大の月が30日で、小の月と大の月がほぼ交互にやってくるようにしています。同じ12ヶ月では、現在の暦と旧暦では長さが違いますね!
月の周期で数えた「太陰暦」の1年は約354日。しかし地球が周期する太陽年の1年は約365日。比べると約11日ほど短くなります。3年も経てば33日(約1カ月)も短くなってしまい、季節がどんどんズレてしまいます。このため約3年に1度、「閏月」を作り1年13ヶ月となる年を設けました。 これによって暦と季節の関係を調整したわけです。
旧暦では閏月の入る年を閏年といいました。 閏月の入らない普通の年(平年)は1年が353日~355日、閏年は384~385日になりました。 閏月は二十四節気の「中」を含まない月とし、 その前の月と同じ月名に「閏」とつけて呼びました。
春節の過ごし方、スピリチュアル
この春節の期間をどう過ごしているのか中国の行事などをご紹介します。
春節は帰省ラッシュ
春節も日本のお正月同様、家族や親せきが集まります。この時期は多くの人が実家に帰省したり、家族やカップルで旅行に行ったりします。中国ではこの大きな人の流れを「春運」と呼んでいるのだそうです。お正月は家族で祝うのはどこでも変わらないんですね!
春節の飾り物は春聯と倒福
春節に飾るのは「春聯(しゅんれん)」や「倒福(とうふく)」です。
家の玄関や扉などに飾られます。「春聯」は家の玄関に貼る赤い紙で縁起の良い言葉が書かれています。「倒福」は赤い紙に「福」の文字が逆さまに書かれたもの。こちらも家の入口に、福が来るよう願いを込めて貼られます。
春節の紅包
「紅包(アンパオ)」は中国のお年玉を入れる赤い袋のこと、年上の人が年下の人に渡します。
春節の爆竹
春節といえば爆竹、なぜ爆竹を鳴らすのかご存知ですか?
この爆竹文化の誕生は漢王朝時代から始まったと言われています。
最初は普通に火を燃やして鬼や疫病を追い払う儀式をしていたのですが、この火に竹を入れると竹が爆ぜてパチパチ言うと、雰囲気が盛り上がるし音に驚いて鬼や疫病も逃げ出すだろう、と言う感じで始まったようです。
音と煙で厄祓いをしていたんですね!近年では、防火や環境面への配慮から爆竹を禁止している地域も多くなりました。
春節の食べもの
春節に食べるものをご紹介します。
春節の食べ物 | 意味 |
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年夜飯 | おおみそかの夜に食べる 日本でいう「おせち料理」 |
魚 | 「魚」は、中国語で余裕があることを表す「余」と同音 「ゆとりのある生活ができますように」という意味 縁起物として年夜飯の定番 |
年糕(ニェンガオ) | 餅 年を重ねるごとによいことが重なる、物事が上向きになるという意味の「年年高昇」の発音が「年糕」に似ていることから |
餃子 | 春節に絶対に欠かすことができない縁起の良い食べ物 餃子の形が中国の古い貨幣である「元宝」に似ている 「餃子」の発音が子供を授かるという意味の「交子」に似ている 春節の餃子は特別で幸せに満ちた日々を送れる「なつめ」や健康長寿を願う「落花生」を入れる また、餃子の中に硬貨、飴、ピーナッツなどを入れてその一年を占う 硬貨は金運、飴は恋愛、ピーナツは健康運と言われている |
春巻 | 生地で包み込んだ具材を一本丸ごと食すことから「終始一貫」を表す 縁起のよい食べ物として春節に欠かせない |
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