七夕の日は雨になることが多いですね。これは七夕の7月7日が、まだ梅雨の時期に重なりやすいからです。
この七夕に降る雨のことを、催涙雨と言います。
催涙雨は、織姫と彦星の涙の雨です。雨が降って天の川が増え、二人が会えなかった悲しみの涙とも、会えたのにまた別れなければならない惜別の涙とも、会えた喜びの涙とも言われています。
七夕に雨が降ると「願い事は叶わないの?」「織姫と彦星は会えないの?」と不安になる方もいますが、雨だから悪いとは限りません。催涙雨は、悲しみだけではなく、再会の喜びや浄化の雨として見ることもできます。
この記事では、催涙雨の読み方、意味、洒涙雨・酒涙雨との違い、季語、英語での表現、洗車雨、七夕流し、カササギの橋、七夕の雨のスピリチュアルについて紹介します。
催涙雨の読み方
「催涙雨」は「さいるいう」と読みます。
「催涙」という字を見ると、催涙スプレーのように「涙を出させる」という意味を思い浮かべる方もいるかもしれませんね。でも、催涙雨は催涙スプレーとは関係ありません。
催涙雨は、七夕に降る雨を、織姫と彦星の涙になぞらえた言葉です。
また、催涙雨は、洒涙雨や灑涙雨とも書きます。読み方は同じく「さいるいう」です。
「七夕雨(たなばたあめ)」と呼ばれることもあります。
催涙雨、洒涙雨、灑涙雨、酒涙雨の違い
催涙雨を調べていると、催涙雨、洒涙雨、灑涙雨、酒涙雨など、いくつかの表記が出てきます。
辞書的に確認できる表記としては、洒涙雨・灑涙雨があります。意味は、陰暦7月7日に降る雨で、牽牛と織女の別れを悲しむ涙雨のことです。
催涙雨は、現在よく使われている表記です。字の通り、「涙を催す雨」と考えると意味がわかりやすいですね。
一方で、酒涙雨と書かれることもありますが、これは「洒涙雨」の「洒」の字を「酒」と見間違えたり、変換で出てきたりした表記として見かけることがあります。七夕の雨の言葉として使うなら、基本は「催涙雨」「洒涙雨」「灑涙雨」と考えておくとよいでしょう。
このページでは、読みやすさを優先して「催涙雨」と書いています。
催涙雨の意味と由来
催涙雨は、七夕の夜に降る雨を指します。
一般的には、催涙雨は「雨が降ったことで天の川があふれて、織姫と彦星が会うことができなくなったために流した涙」や、「七夕の夜に織姫と彦星が別れを惜しんで流す涙」と言われています。
また、この雨は「七夕雨(たなばたあめ)」とも呼ばれることがあります。
七夕は、織姫と彦星が一年に一度だけ会える日です。だからこそ、その日に降る雨は、ただの雨ではなく、二人の悲しみや喜びを映した雨として語られてきたのでしょう。
七夕の由来や織姫と彦星の伝説を詳しく知りたい方はこちらへ。
催涙雨は季語?俳句では初秋の季語
催涙雨、または洒涙雨は、俳句では秋の季語として扱われます。
現代の七夕は7月7日なので、季節感としては夏に思えますよね。ですが、昔の七夕は陰暦7月7日で、今の暦では8月ごろにあたります。立秋を過ぎたころになるため、俳句の世界では七夕や星祭、洒涙雨は秋の季語として扱われます。
七夕という言葉自身も季語ですので、俳句の中ではよく使われています。
- うれしさや七夕竹の中を行く(正岡子規)
- 女の子七夕竹をうち担ぎ(高野素十)
- けんらんたる七夕竹に海が透く(山口波津女)
- 七夕や髪ぬれしまゝ人に逢ふ(橋本多佳子)
- くらがりに水が慄へる星祭(能村登四郎)
- 洒涙雨車軸を流す蘇鉄かな(飯田蛇笏)
催涙雨という言葉は、七夕の恋愛の切なさにも、雨のしっとりした雰囲気にもよく合います。俳句や短歌、七夕の文章にも使いやすい美しい言葉ですね。
催涙雨を英語で言うと?
催涙雨は、日本語の季節の言葉なので、英語にぴったり一語で対応する言葉はあまりありません。
英語で説明するなら、
- rain on the night of Tanabata
- the rain that falls on Tanabata night
- tears of Orihime and Hikoboshi
- the rain of tears on Tanabata
のように表現すると伝わりやすいです。
直訳すると「tear rain」のようになりますが、それだけでは意味が伝わりにくいので、「七夕の夜に降る雨」「織姫と彦星の涙の雨」と説明するのがよいでしょう。
催花雨と催涙雨の違い
催涙雨と似た言葉に、催花雨(さいかう)があります。
字が少し似ていますが、意味はまったく違います。
催涙雨は、七夕に降る雨です。織姫と彦星の涙にたとえられる雨ですね。
催花雨は、植物の開花を促すような雨のことです。春の花、特に桜や菜の花などを咲かせる雨として使われます。
つまり、
- 催涙雨…七夕の雨、織姫と彦星の涙の雨
- 催花雨…春の花を咲かせる雨
という違いがあります。
どちらも美しい雨の言葉ですが、季節も意味も違うので、間違えないようにしましょう。
七夕流しは七夕の長雨
催涙雨ではなく、七夕の夜を台無しにするような長雨を七夕流しといいます。
七夕流しには、天の川を流してしまうほどの雨、七夕飾りや短冊を濡らしてしまうような長雨、という意味が含まれています。
七夕の夜にしとしと雨が降るだけなら催涙雨という感じですが、長く降り続いて星空が見えなくなってしまう雨は、七夕流しと言いたくなりますね。
ただ、七夕流しになったからといって、願い事がだめになるわけではありません。
星が見えなくても、雲の向こうに星はあります。短冊に書いた願いが消えるわけではありません。家の中で静かに願いを唱えるだけでも、七夕の夜は過ごせます。
七夕の前日に降る雨は洗車雨
七夕には、洗車雨(せんしゃう)という言葉もあります。
これは七夕の一日前、つまり7月6日に降る雨を指します。
この言葉は、彦星が織姫とのデートのために、前日に自分の乗り物を洗っている様子を表しています。もちろん、この場合の「車」は現代の自動車ではなく、牛車などの古い乗り物を指します。
デートの前に車を綺麗に…彦星はなかなかイケメンですね!
7月6日に雨が降ったら、「洗車雨だ」と思ってみてください。明日の七夕のために、彦星が準備をしている雨だと思うと、少し楽しくなります。
七夕に雨が降る確率
七夕様には雨が降る…これを実感している方も多いのではないでしょうか。
七夕の時期は、多くの地域でまだ梅雨です。唯一、梅雨明けしていることが多いのは沖縄くらいではないでしょうか。
東京管区気象台の天気出現率では、1991年から2020年までの30年間のデータで、東京の7月7日は晴れが23.3%、くもりが40.0%、雨が36.7%とされています。
つまり、東京では7月7日にすっきり晴れる方が少ないのです。七夕に雨が多いと感じるのは、気のせいではなさそうですね。
他の地域でも、梅雨の影響を受けるところでは、七夕の夜に雲や雨になることがあります。一方で、梅雨明けが早い沖縄では、七夕の星空を見やすい年もあります。
これはやはり七夕には雨が降ると言わざるを得ない!!ですね!!
七夕に雨が降ると織姫と彦星が出会えない?催涙雨のスピリチュアル
せっかくの七夕さま…お天気で過ごしたいものですが、この時期は梅雨と重なることもあり、なかなか青空が広がらない時期でもあります。
七夕に降る雨は「催涙雨/洒涙雨(さいるいう)」と呼ばれ、
- 織姫と彦星が出会えなかったことを悲しむ涙の雨
- 織姫と彦星が出会えたのにまた引き離されることを悲しむ雨
- 織姫と彦星が出会えた喜びの雨
の三つの意味があると言われています。
せっかくの七夕様ですから、会えなくて泣くより「会えて嬉しくて泣いちゃって、さらに別れが辛くて泣いちゃった…」と考えた方が運気が上がりそうですね!
また、「彦星が織姫に会うために船で天の川を渡り、その船をこぐ櫂からこぼれる天の川の水滴が雨となる」という説もあるんですよ〜。
催涙雨は、出会いと別れ、喜びと悲しみ、希望と不安の両方を表す雨です。
恋愛で見るなら、七夕の雨は「会えないから終わり」という雨ではなく、会いたい気持ちがあふれている雨、心の中にたまった感情を流してくれる雨とも受け取れます。
復縁や片思いで不安な方も、七夕に雨が降ったからといって、願いが消えるわけではありません。催涙雨は、涙の雨です。涙は悲しみだけではなく、喜びの時にも流れるものです。
韓国の七夕の雨の言い伝え
韓国では七夕の雨は「織姫と彦星が出会えた喜びの雨」と言われることがあり、とてもロマンチックな気象現象となっています。
また同じ日に降る雨でも、時間帯によってその意味が異なるとも言われます。
- 朝に降る雨は会えなかった一年の「嘆きの涙」
- 昼・夕方に降る雨は再会の「喜びの涙」
- 夜・明け方に降る雨は別れの「悲しみの涙」
韓国ドラマも非常にロマンチックなものが多い国ですが、こんなところもロマンスに溢れていますね〜!
催涙雨のスピリチュアル
催涙雨は、出会いと別れ、喜びと悲しみ、希望と絶望といった人生の極端な感情を表すスピリチュアルな象徴とも言えます。
この雨が降ると、織姫と彦星の感情が地上に降り注ぎ、私たち自身の感情と結びつくと考えられています。
また、催涙雨は、人間の感情や人生の困難を乗り越える力を象徴しています。天の川を渡る織姫と彦星のように、私たちも困難な状況を乗り越え、目的を達成することができます。
このように催涙雨は、ただの雨以上の意味を持つとされ、その神秘的な物語とともにスピリチュアルな力を秘めていると言えます。
七夕の雨の日はカササギの橋を渡って
梅雨の季節、七夕の日にはしばしば雨が降ります。天の川が増水し、織姫と彦星が出会うことができない…そんな悲劇を救ってくれるのが、美しい鳥、カササギです。
中国では吉兆とされるカササギは、賢く、カラスのような姿をした美しい鳥です。七夕伝説では、カササギたちが天の川に橋をかけてくれると言われています。
このカササギの羽の橋を渡ることで、織姫と彦星は雨の日でも出会うことができると言われています。
雨の日の七夕に空を見上げても星が見えない時は、「今日はカササギが橋をかけてくれているのかも」と思ってみるのもいいですね。
カササギの橋は晴れている日も架かる
カササギが雨の日に橋を作ると紹介しましたが、この伝説には複数の説があります。ある説によれば、カササギの橋は晴れている日にこそ架かるとされています。
天帝に頼まれたカササギが集まり、悲しみに暮れる織姫のため、彦星と出会うための橋を作るとされています。そのため、雨の日には橋を作ることができないとも言われています。
しかし、雨の日に二人が会えないというのはあまりにも可哀想です。そんな日こそカササギの活躍を期待したいですよね!
催涙雨の日にするといいこと
七夕に雨が降ったら、外で星を見るのは難しいかもしれません。そんな時は、家の中で七夕を楽しみましょう。
- 短冊に願い事を書く
- 七夕の待ち受けにする
- 織姫と彦星の物語を読む
- そうめんを食べる
- 雨音を聞きながら願い事を唱える
- 恋愛の願いをピンクや紫の短冊に書く
- 家の中を少し片付けて、気持ちを整える
催涙雨は、心の中の涙を流す雨とも考えられます。
片思いや復縁で不安が強い方は、雨音を聞きながら「私の恋が良い方向へ進みますように」と静かに願ってみてください。
七夕の恋愛のおまじないをしたい方はこちらへ。
七夕の待ち受けや短冊の書き方はこちらへ。
催涙雨の片道切符とは?
「催涙雨の片道切符」という言葉で検索されることがあります。
これは、催涙雨という季節の言葉そのものの意味とは別に、作品名やフレーズとして気になって調べる方がいる言葉のようです。
催涙雨そのものは、七夕に降る雨、織姫と彦星の涙の雨を意味します。
「片道切符」という言葉が重なると、戻れない恋、もう会えない別れ、行き先の決まった切ない旅のような雰囲気がありますね。七夕の物語とも相性のよい言葉ですが、この記事では季語・言葉としての催涙雨を中心に紹介しています。
催涙雨と催涙スプレーは関係ある?
催涙雨を調べていると、「催涙スプレー」が出てくることもあります。
これは「催涙」という言葉が同じだからです。
催涙スプレーの催涙は、涙を出させるという意味です。一方、催涙雨は、七夕の雨を織姫と彦星の涙にたとえた季節の言葉です。
言葉の漢字は似ていますが、意味も雰囲気もまったく違います。
催涙雨の日に願い事は叶う?
七夕に雨が降ると、「短冊の願い事は叶わないの?」と気になりますよね。
でも、催涙雨だからといって、願い事が叶わないわけではありません。
雨の日の七夕は、空に星が見えなくても、願いを込めることはできます。織姫と彦星が会えなかった涙と見ることもできますし、会えた喜びの涙と見ることもできます。
どちらで受け止めるかは、自分の気持ち次第です。
不安な時は、「今日は願いが流れる日ではなく、迷いや不安を流す日」と考えてみてください。
催涙雨の七夕も、短冊に願いを書いて大丈夫です。雨音の中で願う七夕も、なかなかロマンチックですよ〜。
まとめ、催涙雨は七夕の涙の雨
催涙雨の読み方は「さいるいう」です。
催涙雨は、七夕の夜に降る雨のことです。洒涙雨、灑涙雨、七夕雨とも呼ばれます。
意味は、織姫と彦星が会えなかった悲しみの涙、または会えた後に別れる悲しみの涙、そして会えた喜びの涙とも言われています。
七夕の前日に降る雨は洗車雨、七夕の夜を台無しにするような長雨は七夕流しと呼ばれます。
俳句では、洒涙雨は秋の季語です。似た言葉の催花雨は、春の花を咲かせる雨のことで、催涙雨とは意味が違います。
七夕に雨が降っても、願い事が消えるわけではありません。雨の日には雨の日の七夕があります。カササギが天の川に橋をかけてくれるように、見えないところで願いがつながっているかもしれません。
皆様の七夕の願いが、雨の向こうの星まで届きますように。



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